健康

生体内の“もろ刃の剣”の正体を解明

2024-12-23

著者: 芽依

理化学研究所(理研)の研究チームは、人体におけるさまざまな病気、特に炎症性疾患に関連する新しい治療法の開発に向けた重要な知見を得ました。彼らは、特定のマクロファージが、炎症を引き起こしながらも、同時に身体を守る役割も果たすことを発見しました。この特定の細胞は、病原体に対して有効な作用を持つ一方で、過剰な反応を引き起こすことで、組織にダメージを与えることもあります。これが“もろ刃の剣”と呼ばれる所以です。

最新の研究成果は、炎症を悪化させる原因物質の一つであるAttacin-D(AttD)という抗菌ペプチドに焦点を当てています。研究者たちは、AttDが過剰に発現することで、マクロファージが自身を傷つけるメカニズムを明らかにしました。この知見は、新たな抗炎症治療法の開発に有望な方向性を示すものです。

研究チームは、細胞内の特定のシグナル経路を活性化することにより、AttDの発現を制御できる可能性があることを示唆しています。具体的には、疾患を引き起こすマクロファージの過剰な活性化を抑える手法が、新しい治療法として期待されています。

また、研究では、慢性炎症による様々な疾患、例えばリウマチや自己免疫疾患が、マクロファージの異常活性に起因していることも示されています。このことは、今後の研究において炎症のメカニズムを理解する上での重要な鍵となります。

この研究成果は、生物学的研究のメジャーな学術誌『Cell Reports』に掲載され、世界中の研究者に注目されています。慢性疾患の新たな治療アプローチを探る上で、非常に価値のある発見です。今後は、実際の治療法として応用できるよう、さらなる研究が期待されています。