科学

生まれる前に意識はあるのか?長年の謎に迫る「意識の型」を調査

2025-03-14

著者: 海斗

世界最大級の新生児MRI解析が行われています。

私たちの脳は、多くの領域が互いに複雑に絡み合いながら、驚くほど効果的に情報を処理しています。

成人を対象とした神経科学の研究では、この働きが「スモールワールド」と呼ばれるネットワーク構造として明らかになっています。

最近の研究では、新生児の脳全体を結びつける機能が保たれていることが示されました。この独特なブランスは、高度な認知活動や意識を支える基盤だと考えられています。

成人における「つながり方」がどのように形成されるのか、特に生まれたばかりの赤ちゃんや早く生まれた赤ちゃんの段階でどのような影響を受けるのか—これは、まだ理解されていない難解な問題として議論されています。

近年、妊娠後期(28週以降)の胎児の脳がすでに高い情報処理の準備を始めている可能性が指摘されています。これにより、早産児の脳の小世界性や高度ネットワークの形成がどれほど影響を受けるのかに関して、重要な実証データがなく議論が続いています。

これまでにも、新生児を対象としたfMRI研究はいくつか報告されていますが、サンプル数や計測精度の限界により、結果がばらつきがちでした。

さらに、脳は感覚・運動や注意・実行制御、言語や視空間認知など多面的なネットワークを内包しており、それらがどの時期にどのくらい成熟し、早産でどのように変化するのかを正確に追うには、大規模かつ多角的な解析が不可欠です。

そこで今回は、研究者たちはDeveloping Human Connectome Project(dHCP)という大規模な新生児fMRIデータベースを活用し、生後すぐの赤ちゃんの脳に小世界構造がどの程度備わっているのか、また正期産と早産でどのような違いがあるのかを包括的に調査しています。

こうした大規模データを用いることで、私たちの脳が持つ「意識の原型」とも言える高度なネットワークを完成させることができるのか—研究者たちはその核心に迫ろうとしています。この研究の進展によって、私たちの意識や認知のメカニズムに関する新たな理解が生まれるかもしれません。