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【社説】万博は展示内容の周知を急げ

2024-11-03

著者: 結衣

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)は来年4月13日の開幕を控え、5ヶ月余りとなった。全国的な関心の低さは相変わらずで、入場券の販売も芳しくない。入場料で運営費を賄えず、公共費用を追加する事態を避けるためにも、運営主体の日本国際博覧会協会などは展示内容の周知に努めるべきだ。

民間シンクタンクが半年前に調査した万博への関心や来場意向によると、京都神戸は4割前後あるが、その他の地域は若干の低迷。報道機関の世論調査でも、開幕が近づいても関心は高まらない。

入場券の販売目標は2300万枚で、前売り分は1400万枚を販売するとしている。しかし、入場券販売開始から1年になろうが、今のところ目標の半分程度にとどまっている。販売した分も大半は企業向けで、個人向けは伸び悩んでいる。

万博の運営費は大半を入場料で賄うことになっている。たとえば運営費で赤字を出せば、公共費で穴埋めることにならないかという懸念もある。会場設営費は2350億円に達する見込みで、さらに公共費を加えることは避けるべきだ。

展示内容がわからなければ関心も高まらない。今のところ目玉としているのは「大樹のリング」らしい。展示内容として新たに「火星の石」やiPS細胞から作る「動く心臓」なども公表されたが、まだ周知が足りない。

万博は未来社会を知るポイントであり、若い世代の関心を高めることが求められる。5月には東京の大学校で、出展する北欧や中東、アフリカ、東南アジアの各国が、展示内容やその背景にある実情などについて説明会を開くという。

万博は161カ国・地域、9国際機関が参加する。各地で競争が激化する今、こうした相互理解を深める意義もある。設計が遅れていた海外パビリオンは開幕までに出しやすいと言われる。各国も展示内容を徐々に出し、全国で説明会を重ねて展示の魅力を伝えていきたい。

万博が持つ国際的な意義とともに、参加する国々の魅力をアピールするための情報発信を絶えず続けるべきである。もっと多くの人々が関心を寄せ、万博に足を運ぶことを期待したい。ハイライトのイベントが目白押しのこのビッグチャンスを皆で共有しよう。