健康

社会の孤独が動脈硬化を促進するメカニズムを解明:医学技術ニュース

2025-01-08

著者: 愛子

慶應義塾大学は2024年12月16日、社会的孤独が動脈硬化を促進する新たな分子機構を発見したと発表した。研究によると、赤血球下部でオキシトシンが減少し、脂質代謝における脂肪酸代謝制御機構が破壊されることが原因だ。これは自治医科大学との共同研究による結果である。

今回の実験では、社会性があるマウスの中でも特に孤独感が深いとされる異なった兄弟マウスを用いた。通常、1つのケージに4〜5匹育つべき群と孤独にする孤独群に分けて調査したところ、これまでの通説であった食事摂取量、交感神経系、視床下部/下垂体/副腎系、慢性の活性化と無関係に、社会の孤独ストレスが動脈硬化を促進することを発見した。

また、社会の孤独により、視床下部からのオキシトシン分泌が減少し、血中の中性脂肪やVLDL-コレステロール、LDL-コレステロールなどの悪玉コレステロールが上昇することが明らかになった。さらには詳細な研究から、オキシトシンが肝臓において同時に2つの異なる機序で脂質代謝を制御していることが世界で初めて明らかになった。

1つ目は、コレステロールを脂肪酸に変換する酵素CYP7A1を増加させる作用だ。肝臓から血液中に分泌される前にコレステロールを脂肪酸に変換し脂肪に排出することで、悪玉コレステロールを減少させる。2つ目は、LPL(リポタンパクリパーゼ)活性を制御するANGPTL4/8の生成を調整する作用である。血中で中性脂肪や悪玉コレステロールを分解する機能を持つLPL活性を改善することで、中性脂肪や悪玉コレステロールの分解を制御する。

さらに、オキシトシンの投与によって社会的孤独ストレスによる中性脂肪や悪玉コレステロールの上昇が抑制されることが確認されている。

近年、ヒトを対象とした疫学研究によって、社会的孤独が動脈硬化性疾患である心筋梗塞や脳卒中の発生率や総死亡率を増加させることが明らかになりつつある。今回の研究成果から、オキシトシンが社会的孤独による動脈硬化進展に対する新たな治療標的となることが期待される。