三井商事の純利益33%増加、4~9月期の連結決算、ロースコア再評価益計上
2024-11-01
著者: 結衣
三井商事は2024年4~9月期の連結決算(国際会計基準)を発表し、純利益が前年同期比33%増の6180億円に達しました。この結果は、グループのロースコアの持ち分法適用会社の再評価益など、一過性利益が業績を押し上げたことに起因しています。
純利益は市場予想平均(QUICKコンセンサス)40%増の6538億円を下回りました。決算を発表した1日午後に三井商事株は下落し、終値は前日比43%安の2746.5円でした。
保有株式の評価益や資産の売却益などが寄与し、これら一過性利益は4~9月期に2730億円と前年同期の7倍になり、純利益全体の4割を占めました。
KDDIとの共同競争体制に変更したロースコアの再評価益などが1225億円を計上しました。オーストラリアの原料炭2社の売却に関連した利益は900億円に上昇しました。日本KFCホールディングスや英国の食品・飲料製造大手プリンセスの売却益も計上されました。
原料炭や北米シェールガスの市況悪化の中で、東南アジアの自動車事業の低迷、好調だった欧州の電力事業の収益減などが影響を及ぼしました。
2025年3月期通期は前期比1%減の9500億円とする見通しを据え置いた。セグメント別の業績予想は見直した。液化天然ガス(LNG)販売事業などの見通しを引き上げた一方、石炭事業は値下がりを踏まえて下方修正した。
中西勝人社長は1日の決算記者会見で「中国景気が思った以上に悪い。中国からの鉄資源の輸出されていることのインパクトが相応にある。(原料炭などの)市況を厳重に見極める必要がある」と語りました。
市場の焦点は来期以降の利益水準に移りつつある。QUICKコンセンサスでは26年3月期純利益予想は74800億円と、25年3月期会社予想比で1割減が見込まれている。人手不足による原料炭の生産低迷や資源価格の下落などが懸念されている。足元の株価は5月に付けた過去最高値から3割安い。
カギとなるのが事業ポートフォリオ入れ替えと利便性の高い川上の成長モデルに注力することです。三井商事は成功性や資本効率に課題がある事業や資産を売って回収資金を成功投資に回す「循環型成長モデル」に注力します。
市場は各種の結果を織り込みつつあり、25年3月期までの中期経営計画は各種の成長の見込みが5.5兆円。これに対して、投資と自社株買いを併せた支出は5.1兆円を見込む。差し引き0.4兆円分の使途は明示されていない。
中西社長は「投資パイプラインがあり(実行を)予定しているものがある。景気の影響を受けてタイミングが遅れることもある」と語った。市場では、三井商事が自己資本利益率(ROE)の引き上げへ今期中に数千億円規模の自社株買いに踏み切るとの見方が出ている。