科学

弱者支援の新たな理論「カスハラ」加害者の“ユガンダ心理”とは 心理カウンセラーが解説

2025-04-02

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不満や怨恨感が背景に

Q. 近年、「カスハラ」を行う人は、心理的にどのような状態にあるのか考えられるのでしょうか。

平井さん「カスタマーハラスメントは、社員に対してなにか、基本的には『反論できない弱い立場にいる人』に対して行われるハラスメントです。

これをすると自分が優位に立てると勘違いしている人が多く、根源には『強者になりたい』という欲求が潜んでいます。しかし同時に、自分の気持ちを客観視できなかったり、本当の意味での周囲との関係性を持てない状況にあるとされています。

また、カスハラ行為をする人の背景には、実際に現代社会で見られる『不満や怨恨感』も影響していると言われています。そのため、カスハラの加害者は、周囲の人間関係が疎外されていることが多く、社会との接続が不十分な状態にあります。これにより、他者との健全な関係を持つことができず、逆に他人に対して攻撃的な行動を取ってしまうのです。

一方で、こうした状態にある人々は、コース・プログラムやセミナーを通じて自身のメンタルヘルスを改善するチャンスを持つことができる可能性もあります。

Q. では、カスハラを受けた人はどのように対処するべきでしょうか。

平井さん「一番大切なのは、自身が被害者であることを理解した上で、適切な支援を受けることです。また、周囲で信頼のできる人に相談することで、感情の整理が進むこともあります。

特に、カスハラによって受けたストレスや心理的なダメージに対処するには、専門家のカウンセリングを受けることが強く推奨されています。心理療法を通じて、自分の内面を見つめ直すことが、回復の第一歩となります。また、支援する側としては、「誰もがそうなるリスクを持っている」ことを理解し、共感を持って接することが重要です。

Q. カスハラ防止に向けた企業側の取り組みについてはどう考えますか?

平井さん「企業内でのハラスメントに関する規則やルールを設け、職場環境の改善に向けた取り組みが求められます。そして、従業員が困った際には相談できる体制を整えることが、カスハラを防ぐ助けになると考えます。

カスハラに関連する教育セミナーの開催や、心理的安全性を重視した職場環境となるような施策をどのように進めていくかが鍵になります。社員同士の良好な人間関係を築くためにも、自分自身のストレスマネジメントが必要不可欠です。」

現代社会では、カスハラが横行する一方で、その背後には多くのストレスや社会的孤立が隠れています。この現状を見つめ、しっかりと対処し、治療の道を探ることが、全員に求められる課題となっています。今後、このような教育や支援のシステムが普及することを期待しましょう。