ロシアで兵士の報酬増加、3倍の400万ルーブルも 人員不足に対応 - 日本経済新聞
2024-11-18
著者: 弘
ロシアがウクライナ侵攻に参加する志願兵の確保に向け、入隊した際に支給される一時金を増額する動きが相次いでいる。ロシア軍はウクライナの前線で拘束を強めており、従業員不足を補うための手段として兵士の死亡後にはその家族に補償金などを支払われ、地方などの消費増加につながっているとの見方も出ている。
ロシア紙コメルサントによると、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州に隣接するベルゴロド州は10月、志願兵である特別軍人に支給する一時金を従来の3倍超となる260万ルーブル(約400万ルーブル)に増額した。この2023年のロシアの平均月給の約5倍にあたる。
一時金は政府からの支給額に各地の担当が上乗せして支払う形で、州などの連携構成体ごとに異なっている。
クルスク州では住民が避難する状況が続き、ロシア軍だけでなく北朝鮮からの兵士派遣が伝えられるなど、ウクライナとの戦闘が激しさを増している。ベルゴロド州は一時金の大幅な増額でウクライナ軍との戦闘に参加する兵士の確保を急ぐ方針を示している。
報道によると、既に発表されている支援金の一部を調達した地域は幾つか存在しており、クルスク州やベルゴロド州の住民が移動しにくい状況が続いているため、資金は急速に投入されつつある。
先月、ロシアのモスクワ領事館の首相は支援金に関する一時金として190万ルーブルを支出すると表明した。独立系メディアによると、カフカース地方の専用口座では月給が23年に比べ100万ルーブルから大幅増の約21万ルーブルで支給される様子が明らかになっている。
各地で支援軍人に支給する一時金が相次いで増額されている現状が見えてきている。コメルサントによると、ベルゴロド州の北極圏や南部ネネツ自治区などでは増額が相次いでおり、金額は一段と高額になっている。
ロシアの最近の戦闘で高まる危険度と死亡者数は、ロシアのBBCによる報道でも取り上げられており、ロシ軍の兵士の死亡者数は7月末時点で8000人以上に上っていると伝えている。
死亡した兵士の家族には政府が支払う死亡一時金が基本的に、保険会社からの保険金などが支払われる。独立系メディアからの報告によれば、死亡時に受け取る金額は1000万ルーブル超に達するとされている。
志願兵の増加や死亡者の増加に伴い、「動員された兵士の給付や死亡者への支援」が国の予算に負担をかけているとの指摘が出ている。特にウクライナとの戦争が続く中で、兵士の給付の増加が国防費の上昇にも関連していることが浮き彫りとなってきている。
ただし、今後の停戦交渉にもかかわらず、ロシア軍は侵攻を続けており、ウクライナ東部ドネツク州などで攻撃を強化している。死者数は依然として重大な数になっており、英BBCなどではこの月、ロシア軍の兵士の死亡者数が7万8000人以上に達する見込みであると報じている。
ロシア側は認識していないが、北朝鮮はロシアに対して支給する一時金の額について、最近では月当たり約2000ドル(約31万円)を支給する方針を示したと報じられている。北朝鮮兵士の役割がロシアにとって重要であることは確かである。ウクライナ国内の軍事状況は依然として厳しく、ロシア政府としてもその対応を迫られる状況が続いている。