健康

「認知症に効く」と謳われる高いお金を出す価値はあるのか?エビデンスの裏付けに注意を【山田悠史医師】

2024-11-03

著者: 海斗

世界最高峰の老年医学科で活動する山田悠史医師が、認知症の進行を遅らせるために「本当に必要なこと」「まったく必要でないこと」を伝えます。

山田悠史は、米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟などを経て、現在は米国ニューヨークのマウントサイナイ医学大学老年医学科に所属。ファイザー製薬と協力して、最新の老年医学に基づく研究に取り組んでいます。

「認知症予防」と聞いて、真っ先に頭に浮かぶものは何でしょうか。「健康食品」「サプリメント」「脳トレ」……。そんな言葉がすぐに思いつく方も多いのではないでしょうか。やがて「そんな言葉がすぐに思いつく方も多いのではないでしょうか。毎日これらを取り入れることは、本当に効果があるのでしょうか。

認知症予防に効果をもたらすとされる食品にも、脳を守り、認知症予防に効果的であると言われる成分が含まれているものがあります。例えば、オメガ-3脂肪酸が豊富に含まれる青魚や、抗酸化作用を持つ色とりどりの野菜は、認知機能の維持に寄与すると言われています。さらに、こうした食品は心血管疾患を防ぐことで、間接的に認知症のリスクを低下させる効果も期待されています。

ただし「健康食品」によって効果が得られることを証明するためには、多くの臨床試験やエビデンスが必要です。そして、多くの健康食品は科学的根拠が不十分であるため、効果を謳っている商品でも効果が薄い場合があります。

そのため、「本当に効果のある食材を取り入れたい」と思ったら、しっかりとした研究に裏付けられた情報をもとに選ぶことが重要です。「WHO(世界保健機関)」も認知症予防に関して推奨する食事の指針を示していますので、これらを参考にすることもひとつの手です。

また、健康食品だけでなく、認知症予防のための生活習慣全般を見直すことも大切です。体を動かすこと、社会との交流を持つこと、ストレスを適切に管理することが、総合的な認知機能の改善に寄与するのです。こうした総合的アプローチを取ることで、認知症のリスクを低下させるだけでなく、健康的な生活を送ることができるでしょう。

最後に、みなさんにお伝えしたいのは、毎日の生活習慣を少しずつ見直していくことが、認知症予防に繋がるということです。価格の高い健康食品に頼るのではなく、身近な食材から健康を考えてみることは、賢い選択かもしれません。そうすることで、長期的に効果が期待できる認知機能の維持ができるでしょう。