任天堂2024年4〜9月、純利益60%減 後継機への知財保護面に - 日本経済新聞
2024-11-05
著者: 健二
任天堂が5日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年度同期比60%減の1086億円だった。4〜9月期の純利益の減少は21年以降3年ぶり。売上高は34%減の5232億円、営業利益は57%減の1215億円。9月末の為替レートが1ドル=104円と前年と比べ円高に振れたことも影響し、外貨建て資産の減損を計上した。
同時期に、25年上期の業績見通しを一部修正した。売上高は前年同期比23%減の16200億円、営業利益は32%減の3600億円を見込んでおり、原材料価格の高騰や新型コロナウイルスの影響も大きくなっている。
さらに、便乗する形で進められているスイッチの売上減少に対し、再構築を進めている。2月にはスイッチのソフトを販売する「エミュレーター」を発表するなど、新たな市場開拓を目指している。任天堂の古川俊太郎社長は「スイッチの普及をテコに販売を伸ばしたい」と語り、がんばっている。
特に注目されるのは、今後のゲーム機の開発体制である。任天堂は新たなゲーム機用タイトルの開発に力を入れる一方で、現在のスイッチの普及に合わせたソフトラインナップの拡充を図る方針だ。また、日本国内でも新作の発表が予定されており、これが業績を改善する鍵となる可能性が高い。
しかし、依然として市場環境は厳しい。特に競合他社との価格競争が激化しており、販売戦略を見直す必要が生じている。任天堂は今後、「任天堂世界」のブランド力を高めるために、ゲーム機本体の品質向上や、「つながる楽しさ」を提供できる新たなサービスの展開を目指す。
市場の反応も慎重で、任天堂の株価は不安定な動きを見せている。こうした中、任天堂は市場の動向を見極めながら、企業戦略を再構築する方針を示している。先行きは厳しいものの、業績向上に期待が寄せられている。将来的なゲーム機や新しいソフトの発表が待たれる中、任天堂の動向に注目が集まっている。