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「人間は性格を変えられるのか?」→最短4週間で変わる研究結果 2万人以上で調査 17年に発表:Innovative Tech

2025-01-07

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ミネソタ大学やスタンフォード大学の研究者たちが2017年に発表した論文「介入による性格特性の変化の系統的レビュー」では、性格特性が治療などの介入によってどの程度変化するのかを調査した。

この研究グループは心理療法や薬物療法など、多様な介入による207件の研究を分析。対象となった参加者は2万人以上で、平均して24週間の介入期間を設定し、どのように性格特性が変わるかを追跡した。その結果、介入によって性格特性が平均0.37標準偏差変化することが明らかとなった。

特に注目すべき点は、性格の変化が思ったよりも早く起こる可能性である。過去の研究者たちは、性格は何年もの間にわたって変わるものと考えていたが、今回の研究は4~8週間の介入で有意な変化が生じる可能性を示している。

具体的には、情緒安定性(毎日不安を抱える人)の変化が最も顕著で、0.57標準偏差の変化が見られた。また、外向性(社交的な人)の変化は0.23標準偏差であった。この変化は、参加者が生涯にわたって自らの性格を自由に体験することを促すものであり、特に心理的な援助によって大きな影響を及ぼす。

介入の種類による性格特性の変化には大きな違いも見られ、認知行動療法、支持的療法、精神力動療法などが比較され、効果が異なることが確認された。特に、対面的な対話や自己開示を伴う介入が効果的であることが示唆された。

一方で、患者の症状に対する変化についても興味深い結果が出ている。特に、不安障害の患者においては、性格の変化が最も顕著に見られ、物質使用障害の患者では変化が比較的小さいという結果が得られた。

今回の研究は、性格が単なる固定的なものではなく、適切な介入を通じて柔軟に変わり得るものであることを証明しており、様々な治療法が提案される中で、個々の特徴に応じた適切なアプローチが求められることを示している。

この分野での研究は今後も続くと予測され、性格変化の可能性を広げることが期待されている。実際、性格は一度の治療で完全に変わるものではなく、さらなる治療や時間を要することが多いが、それでも短期的な変化が実現できる道筋が示されたことは、心理療法やカウンセリングの新たな可能性を提示している。