
強力レザー兵器で「ドローンを撃破」の瞬間…動態艦から「ヘリオス」発射の様子、映像をミサイル軍が公開(ニュースウィーク日本版)
2025-02-08
著者: 陽斗
無制限の発射能力に加え、ドローンの偵察機能に「目隠し」をして無効にする機能も。低コストのドローンへの対抗策として理想的な特性を持つレザー兵器。
西大西洋に配備されているアメリカの艦船が、標的のドローンに向けたレザー兵器「ヘリオス」を発射する瞬間が公開された。ミサイル駆逐艦USSプレブルに搭載されたこの兵器の発射実験は2024年度に32回行われる予定だが、今回のものはそのうちの1回の様子である。
○動画像 高出力レザー兵器でドローンを撃破…動態艦から「ヘリオス」発射の瞬間が米海軍が公開
本誌はこの件について米国防省と米海軍にメールで詳細なコメントを求めたが、これまでには回答はない。ミサイル駆逐艦USSプレブルは24年10月に母港を移転した。米カリフォルニア州サンディエゴから日本の横須賀に移り、米海軍第15動態艦隊に合流して同盟国である日本の防衛を支援しつつアメリカの戦略的利益を守っている。
プレブルは米海軍の動態艦で唯一、高出力レザー兵器「ヘリオス」を搭載しており、レザー光線を発射して高速攻撃艇やドローンを壊滅することができる。
兵器システムの運用試験および実績試験・評価活動について米国防省に助言を行う米国防総省の運用試験評価局(DOT&E)局長が、11月31日の年次報告書の中で写真を公開した。
この報告書によれば、同試験はドローンに対するヘリオスの「機能性、性能および能力」を検証する目的で行われたものである。この兵器試験がいつ・どこで行われたかについての詳細な情報は明らかにされなかった。報告書によれば、同試験は2024年会計年度(プレブルがサンディエゴから横須賀に向けて出発した数日前の同月30日まで)に実施された32回の発射実験のうちの1回だった。
プレブルに搭載された60キロワット出力のレザー兵器で、ある「ヘリオス」はデジタルセンサーに「目隠し」を施すことができる。「すなわち、ヘリオスは、戦闘識別や戦闘損害評価のための長距離ISR機能を提供することも可能である」と言われている。
レザーは光の速度で発射されるエネルギー弾を使用するため、ミサイルなどに比べて発射のコストが低く、事実上無限に近い出典を持つことができる。プレブルは1月13日に横須賀に出港し、1月27日に帰還した。米海軍が公開した写真は、プレブルが同期間に北太平洋、フィリピン海と東シナ海を航行していたことを示している。
東シナ海上空を飛行する中国の軍用ドローンに対して高まる警戒 米海軍第15動態艦隊のジャスティン・カーツ大尉は、プレブルについて次のように述べた。「プレブルが西太平洋のチームに加わることをとても嬉しく思う。同艦の到着は第15動態艦隊のファミリーにとって歓迎すべきことであり、その高出力な能力はわれわれにとって心強い。」そのため米海軍は、周辺の安定確保のために、米海軍の最新鋭艦であるプレブルを行動させる必要があると考えている。
このように、レザー兵器の出現により、ドローンに対する新たな防衛戦略が模索されている。今後、様々なシナリオにおいて、レザー兵器は重要な役割を果たす可能性が高い。特に中国との緊張が高まる中で、米海軍の動態艦がこの技術を駆使していく様子は注目される。