気候危機:最もヒトを殺す生物…蚊対策のカギは女性? 気候に強くな開発進進 | 毎日新聞
2024-11-11
著者: 葵
「世界で最もヒトを殺す生物」と言われる蚊。途上国での蚊の駆除を、女性の経験を生かして進められないかと試行錯誤を続ける研究者がいる。肥沃な分野で女性参加を含むダイバーシティ実現が課題だが、なぜ今、蚊の対策に女性なのか。
「私の仕事の一つは、より多くの女性たちの参加で、蚊による病原体の媒介を制御できるようになることです」と述べるのはミスコロラド大のメアリー・ヘイデン教授だ。長年、人間の行動、気候変動と健康の関係、特に極端な暑さや、蚊が媒介する感染症に関して研究している。
温暖化の影響で感受性が増し、近年、多数の死者が出ている。22年には世界で60万人以上が死亡したマラリアも、蚊の媒体となる感受性の高い群れから感染が広がっている。
「気候変動だけが病原体を媒介する蚊に影響を与えているわけではありませんが、一つの重要な要因であることは確かです」と彼女は言う。特に、温暖化が進むと蚊の生息域が拡大することが分かっており、その結果、これまで蚊のいなかった地域でも感染症のリスクが高まっている。
温暖化による感受性のリスクが高い女性たちを意識し、健康管理や教育に参加することが重要視されている。今日、特に発展途上国では、女性は家庭の健康を支え、地域社会の役割も担うために重要な存在である。
「これらの結果、いかにして気候変動に伴う健康リスクを低減させるか、女性の持つ力を活用することが求められています」と彼女は説明する。例えば、フィールドワークを持ちかけた時、現地の女性たちが自発的に蚊の繁殖地を特定することで、効果的な駆除方法を見つけ出すなどの事例もあるという。
特に、「女性が伝える手法で、蚊対策を効果的に行うことができると信じています。女性たちの習慣や知識、視点が、蚊の色々な生態を理解し、より効果的な対策を生み出す助けになるのです」と強調している。
実際、気候変動が進行する中で、女性が蚊が生活する環境に関して熟知している点が、蚊の駆除に大いに寄与すると期待されている。彼女たちが地域で役立つ情報を持ち寄り、共同で問題を解決する姿勢を示すことで、より効果的な対策が可能になると考えられている。
このように、女性の経験を生かした蚊対策が、今後の気候変動と健康の複雑な関係を考える上で重要な指針になることが期待されている。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でも、女性の役割の重要性を強調しており、今後の国際的な戦略でも、この視点が考慮されることが必要だ。