健康
PGE2はがん免疫の代謝バリアを誘導する – PGE2はヒトがんに浸潤した免疫細胞のエネルギー供給を抑制し不活化する
2024-11-06
著者: 海斗
プロスタグランジン(PG)は、炎症を抑制するアスピリンが病の発症進展を抑制することから、がんの進行に関与していることが考えられます。しかし、実際のヒトにおけるPG、特に主要なPGであるPGE2がどのように作用するかは不明でした。
成亜周医学研究科特定教授、Siwakorn Punyawatthananukoolとその研究チームは、医学部附属病院の患者さんを対象に、がん治療におけるPGE2の役割を解明するため、613個の免疫の単一細胞RNAシーケンス解析を実施しました。その結果、PGE2は、がんに浸潤したT細胞やM1型マクロファージのEP4受容体を介して、これらの細胞のエネルギー供給を抑制し、増殖、移動、及び抗がん活性を抑制することが分かりました。
さらに、微小環境においてPD-1などが関与する免疫逃避機構に加え、PGE2が働くことで、これらの進行に影響を与えることが示唆されています。今後の研究では、EP4抑制薬の開発が進められており、これが治療において重要な役割を果たす可能性があります。
本研究の成果は、2024年11月1日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。この画期的な発見により、がん治療の新たな展望が開けることが期待されています。多くの研究者たちが密接に関わる中、PGE2ががんと免疫の相互作用に及ぼす影響が注目されています。