最新の研究によると、プロスタグランジンE2（PGE2）は、がん免疫の抵抗力を低下させるメカニズムに深く関与していることが明らかになりました。この研究は、がんの進行に対抗するための新しい治療法を見出す手掛かりとなるかもしれません。

この研究を遂行した成塚周医学院の専門家チームは、がん細胞の周囲に存在するPGE2によって、免疫系のT細胞や特定のマクロファージの活性が抑制されることを発見しました。特に、がんの微小環境においてPGE2が腫瘍進行を促すことが、研究者たちによって示されました。

研究では、613種類のがん細胞の遺伝子解析を行い、PGE2がT細胞の活性を抑えることが分かりました。この結果、がん細胞がどのようにしてPGE2を利用し、免疫反応を回避するのかが明らかになりつつあります。さらに、PGE2がEP4という受容体を介して働くことで、がん細胞周辺のマクロファージの特性が変化し、炎症応答を誘導する役割を持つことが確認されています。

なんと、PGE2はがん細胞の増殖や移動を促進し、免疫機能を抑制することで、がんの進行に寄与していたのです。この発見は、特にがん治療における新たなアプローチを提供し、PGE2をターゲットにした治療法が期待されています。

研究者たちは、EP4を阻害する治療法ががん治療に効果的である可能性があると考えています。現在、EP4に対抗する新薬の開発が進行中であり、早ければ2024年1月1日には「Nature Communications」にその成果が発表される予定です。がん治療の新時代到来か？今後の展開に注目です。