テクノロジー

パナソニックHD社、AI事業推進「取り組まなければ化石」

2025-01-09

著者:

【ラスベガス=長江剛志】パナソニックホールディングス(HD)の栗見茂樹CEOは8日、日本経済新聞などの取材に応じた。人工知能(AI)技術を取り入れた事業の売上高向上について、2035年にグループ全体の30%以上を引き上げる目標を掲げ、「挑戦的であるが、取り組まなければ(時代遅れの)化石になってしまう。2~3年前の取り組みで達成できるよう進めていく」と語った。

栗見氏は米ラスベガスで開かれているテクノロジー見本市「CES」の会場で「既存事業で収益性を追い求める一方で、新たな事業を生み出していく必要がある。その核となる技術がAIである」と強調し、グループに占めるAI関連の売上高高比率を足元(10%未満)の3倍に高める方針を示した。AI活用を前面に掲げるのは「危機感の表れ」であり、従業員同士で共通認識を深めるようにし、全社に意識を浸透させるとした。

パナソニックHDは米国で電気自動車(EV)電池事業を手掛けている。今後の大きな成長ポイントはEVメーカーやEV電池メーカーを優遇する米国のインフレ抑制法(IRA)の支援金を見直す可能性もあるが、「EVを購入する際の支援だけが縮減されると聞いている。EV電池の支援金が減るのであれば、我々にも有利に働くのではないか」と見解を述べた。

一方、トランプ氏がメキシコやカナダなど周辺国に関税を課す方針を打ち出していることについては懸念を示した。「人件費の低いメキシコで製造し米国に製品を送るケースは多く、我々を含め多くの企業が影響を受ける」と指摘。特にEV電池の素材に関わる影響は大きいとして「黒鉛を採取できる国は限られている。我々は黒鉛の確保に向けてカナダ企業と協業だが、カナダに関税がかかれば影響を受ける」と語った.