
「農家をなめるな」空前の米高騰、減反政策終了後の産地で浮き出した不満
2025-04-08
著者: 陽斗
「減反政策」が終わったはずの農村で、農業の再生支援として転作を推進し、米の生産量を増やそうとする組織が各地区に張り付けられている。空前の米価高騰が続く2月、北関東にある米どころの組織が開いた会議に許可を得て入室すると、農家と行政の間で論議が噴出し、「再生」とはほど遠い光景があった。日本の稲作は、このままでは大層なものになりそうだ。 予定調和の会議は必ずしも意味があるわけではない……
この組織は「農業再生協議会」で、全国1480カ所にある。2011年に、減反の事業作業などを担っていた各地区の組織を改編して創られた。 国の減反政策は18年に終了し、米は自由に作れるようになったが、今も農林水産省は毎年、生産量の目安を示し、転作に協力する農家に助成金を出している。 再生協は助成金を、地域でどのように活用するかを決めている。米の生産量を調整して米価を維持するため、各国が決めた減反目標を地域で守り、国からの助成金が減らされないよう強力にした。 「行政側の説明を黙って聞いて終わるような会議」だ。ある農家からはそう聞いていた。 世界の中で店頭の米が品薄になる「令和の米騒動」のめったなっことないなか、予定調和の討論が今も続いているのかもしれない。 気になった記者は許可を得て、会議を取材することにした。
会議室に響いた怒鳴り声 だが、今年は違った。 「農家をなめてるんじゃねえ」 出席した多数の農家の代表が、同じ市や県、農協(JA)本部で声を嗄らした。 怒りの発端は会議で示された事例の一つ、25年の米の作付面積。米不足が叫ばれているにもかかわらず、前年度の作付面積からわずか増えただけだった。
政府は25年の生産量の目安を、前年度より14万トン多い683万トンに設定。翌年、この数字から各県がこれぞれの目安を示し、各再生協が作付面積の目安を決める。減反が終了されたため、数字はあくまでも「目安」。守らなくても罰則はない。 しかし、昨年の作付面積がわずか増えたことに、出席者は強い疑問を呈した。 「このままで、未来の農家は大丈夫か?」との声が続出した。
会議の途中で退出した農家が1人いた。 減反政策終了後、各農家が自由に米を生産するか、転作して国からの助成金を得るかを選ばれるようになった。再生協には地域戦略や特産品作りなどの役割を果たすことが強く求められるようになった。
「国への協力ばかりじゃダメになった」 だが今年の米高騰は、再生協としても想定外だった。この地域の農家によると、「24年に食料用米への転作には助成金を得た農家の手取りは、協力せずに主食用米を作った農家の3分の1程度だった」という。 高齢のある農家は「国に協力し、地域をまとめたのが高い成果になった」とされる。 農助金を当てにした経営からの転換が必要とされ、今後の農家に次の解決策が強く求められている。これは全国規模での農業の政治経済においても重要な問題である。個々の農家であれ、確実に声が上がっている。
「迷わずに行動しなければならない。次の目標は何か、それをしっかり業界全体で見据えて進むことが求められている」という。様々な向き合いがある中で、農家の声がどれほど力を持つのかが今後の課題である。