「鳥類衝突」も! 韓国・都市型空空交通の鳥対策は十分か
2025-01-07
著者: 裕美
鳥との衝突リスクへの懸念
2023年8月8日 KOREA WAVE 韓国で、来年の商用化を目指す都市型空空交通(UAM)のプロジェクトに、鳥との衝突リスクへの懸念が高まっています。特に、済州空港の事故原因が鳥の衝突であることが指摘されており、首都圏で実験運航が進められるUAMが、主要な通勤用の交通手段として鳥との生態的問題と重なることが懸念されています。
商用化の目指す日程
ソウル市は2030年にUAM商用化を目指し、今年上半期から済州島や漢江上空で実験運航を開始すると発表しました。2035年以降には、金浦空港〜済州島〜仁川空港〜水西など、漢江全域をカバーする運行計画も示されています。
交通の効率化
この計画が進むと、板橋〜光化門までの移動が約15分で可能となり、仁川国際空港間を25分で達成する見込みです。国土交通省もUAM専用の停留所「バーティポート」を設置するため、2035年までにUAM対応型の施設1万棟を整備するロードマップを打ち出しています。
防護対策とリスク
しかし、UAMの安全性に関しては、具体的な対策が不足しているとの指摘もあります。昨年11月、国土交通省は全羅南道の高興に続き、首都圏のアラバルをUAM実証事業区に指定しましたが、アラバルは首都圏最大の鳥類生息地でもあります。
都心部でのリスク分析
ソウル市や国土交通省は、バーティポートが都心に位置するため、鳥の群れとの衝突リスクが低いと見ているが、韓国航空空運学会の研究では、都心部でのUAM運行は航空機よりも鳥衝突の危険性が高いとされています。現在のところ、生肉を用いた模擬衝突試験が唯一の試験方法に過ぎず、関連研究は進んでいない状況です。
技術開発の期待
昨年の国土交通技術展示では、鳥衝突を想定した試験装置が公開され、圧縮空気を利用して鳥を飛ばす実験も行われました。この装置は、端的に言えば、複雑な安全対策を要するものであり、今後の技術開発が期待されています。
衝突リスクを減少させる必要性
首都圏のUAMルートには4カ所の鳥類生息地が含まれる可能性が高く、このため鳥衝突リスクを驚異的に低下させる安全対策が求められています。UAM業界関係者は、「都心部で鳥との衝突が発生する可能性は低いが、万が一のことが起これば人的被害が大きくなるため、すべての変数を検討する必要がある。離着陸ルートや鳥の飛行高度を調査し、衝突リスクを最小限に抑える努力が必要だ」と強調しています。