テクノロジー

NECのオープンイノベーションに富士通社員も登場 新ビジネス創出に向けたワーク

2025-04-02

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NECのオープンイノベーションを担うのは、事業開発統括部長の松田尚久氏だ。松田氏は、通信分野での豊富な経験を持ち、2008年からは米国でNECの収益企業としてあり、通信事業者向けのソリューションを手掛けるネットクラッカー・テクノロジーでPMIやシナジー創出に尽力してきた。帰国後は、テレコム領域での新規事業開発に貢献し、現在は全社の新規事業開発を統括している。

NECは、2013年から積極的にオープンイノベーションに取り組んできた。当初は、ビジネスユニットから出たアイデアをサポートし、加速させる取り組みからスタートした。期待していた成果は出なかったものの、自社テクノロジーのマネタイズ強化や、オープンイノベーションの業務を立ち上げ、プロセスを改革してきた。

NECは、以下のような新規ビジネスを創出し続けている。

- CropScope(農業支援ソリューション):AIを活用し、農業の生産効率を向上させるソリューション

- Shines:個人向け金融アドバイザリーサービス

- AI創薬:AIを活用した個別化が進むワクチンや感染症ワクチンの開発

また、NECは、オープンイノベーションを通じて以下のような新たな取り組みも構築している。

NEC Open Innovationは、インバウンド型とアウトバウンド型の2つの方向性を持つ。

- インバウンド型:外部の技術をNECに取り入れ、技術の補完や強化を図る

- アウトバウンド型:NECの技術・資産を外部に提供し、共同で事業を創出する

インバウンド型では、成長が期待できるスタートアップに対して、VC投資、BS投資、そしてエコシステム型CVC「NEC Orchestrating Future Fund」を通じた投資を行っている。さらに、ビジネスコンテスト「NEC Innovation Challenge」を開催し、グローバルスタートアップとの共同創造を進めている。2024年には大日本印刷、電通、KDDIなどが協賛パートナーとなった。

VC投資に関連しては、先端動向の把握などを目的に、米国、イスラエル、欧州、日本などのグローバルVCへLP出資を行い、新事業創出、技術・先端動向理解やR&D連携を目的として、しっかりとしたグローバルスタートアップ戦略を展開している。

さらに、NEC Orchestrating Future Fundには、NECを含めた6社が出資した。設立3年目の成果として700億円規模を目指し、9社に出資中である。現在、数十社との協業に関するディスカッションを実施中だ。スマートシティ、DX、カーボンニュートラルなどを注力投資領域としており、エコシステム形成も目指している。

また、アウトバウンド型では、研究者による高精度な技術を活用し、DX支援を含む先端技術コンソーシアムや、各国シリコンバレーを拠点とするスタートアップとの連携を進めている。

NECは、NEC Xと呼ばれるスタートアップを立ち上げ、スタートアップの成長を加速させるため、7000人以上の起業家的なデータベースを活用し、NECの技術やスタートアップをマッチングし、事業化を支援している。

2025年夏には「NEC X Tokyo」というスタートアップ施設を設立する計画を発表。スタートアップとの連携を強化し、NECの技術と日本の起業家をマッチングする。グローバルに通用するスタートアップを創出することを目指している。これからの日本のオープンイノベーションの未来が楽しみだ。