南シナ海領有権争いでおなじみの海警5402号を送り込んだ中国、インドネシア大統領就任日を狙った理由とは
2024-11-04
著者: 愛子
南シナ海のスプレーリー諸島の領有権を巡り、フィリピンと衝突した中国が、今度は舞台を南方のインドシナに移しました。4400トン級の大型の海警船がインドシナのEEZ(排他的経済水域)に送り込まれ、ここで行われている海底探査作業を妨害し、インドシナの海上安全機関の監視船と海軍のコンボートに追い回されています。中国外交部(省に相当)は「国内法と国内法に基づく中国の管轄海域で日常的なパトロール活動を行った」と主張しています。
インドシナのスプラトリー諸島近くに現れた中国の海警船「5402号」
中国は南シナ海の大部分を含む「九段線」を描き、その内部は全て中国の管轄であると主張しています。しかし国際常設仲裁裁判所(PCA)は2016年、このような中国の主張に「法的根拠がない」と判断しました。今週、事件が起きた海域は、中国南端の南シナ海から南に1500キロ離れた場所です。
インドシナでは、ジョコ・ウィドド大統領が就任した2016年、ナトゥナ諸島にF-16戦闘機と海軍艦艇を配備するなど、領土問題に関して強硬姿勢を維持してきました。中国海警の今回の動きは、新たに就任した大統領への挑発とも捉えられています。
中国の海域に入り込んだ「中国の海域」と主張
中国の海警船は、プラウ・ウラウ大統領が就任した10月21日に、この海域に入り込んでいます。インドシナの海上安全機関(BAKAMLA)が無線を通じて「出て行け」と要求すると、中国の海警は「ここは中国の管轄海域」と主張しました。最終的に、BAKAMLAの監視船が中国の海警船を追い出したとされています。
この海警船は3日後の10月24日に再びこの海域に現れる予定です。フィリピン沿岸警備隊が公開した映像を見ると、中国海警南海分局所属の5402号で、4400トン級の船で76ミリ砲と固定機関銃2基を装備し、救助用ヘリも搭載できる大型船です。
中国の海警船は、インドシナの国有石油会社「プルタミナ(PT Pertamina)」が物理探査船を用いて進めていた海底探査作業を妨害し、出動したBAKAMLAの監視船1隻と海軍のコンボート1隻が追い回したと言われています。BAKAMLAは「中国の海警船がプルタミナの調査活動を妨害し、この船を追い回した」とし、インドシナの領域を強硬に守るとコメントしました。