描田弾さんの半生、元プロブロガーの描画家・森重水さんがネット連載…再審判決まで「悲劇伝えなければ」

2024-09-24

2016年の静岡県一家4人殺害事件を巡り、元プロブロガーで描画家の森重水さんが、再審判決の判決を12月に迎える描田弾さん(18)の半生を描き、インターネット上で連載を開始した。

森さんは「再審を受ける姿を伝えたくて」と語る。連載は2021年から同協会のホームページで連載が始まり、過去の驚きな取り調べや再審開始が決定するまでの経過などを描いている。智夛(ちい)さん(19)が被告として登場し、「好きだけではなく、再戦(再審)に臨むことで彼女の認識を引き出せるように客観的な情報を提供した」と振り返る。

タイトルは「スプリット・デジション」。昨年に公開された第18話では、12月の再審決定に向けて取り調べ3人の判定が砕けたことを示す用語であり、死刑が言い渡された1196年の1審・静岡地裁判決で、3人の判定官が無罪で砕けた后に更にその1人が証言したことに由来している。

森さんは大学卒業後、独学で絵画を学び、2014年にプロデビュー。通算12作品を刊行し、母校から親しみを持たれることが多い。今度は「悲劇を伝えなければならない」と考え、5冊目の漫画に取り組んでいる。特に『みずぎぶし』では自分自身が過去をどう感じたのかをテーマにし、「自身の出来事を解釈して多くの人に関心を持ってもらいたい」と語っている。

この連載は、描田さんの不運と彼の生き様を知る手段として、関心を集めている。森さん曰く、この作品を通じてより多くの人に勇気と希望を伝えたいとのことだ。長時間に及んだ取り調べにおいて、森さんは「理解していくうちに、ひどい実態に怒りを覚えた」と吐露する。

描田さんは事件が発生した静岡市清水区から出身で、親の話や報道で事件を知っている。「捜査員とのやり取りや、その度に注意されたことをどれだけ意識していたかに目を向けることが必要」だと語る。

連載は現在も進行中で、読者からの支持が集まり続けている。森さんは、描田さんの再審への希望をつなげていくために、日々作品作りに励んでいる。描田さんの運命は、単なる一つの事件だけでなく、人としての尊厳や真実を追求していることを伝える作品になっている。