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「けもみみ」を触られる感覚は人間は得られるか? 総合大学と東京大学がVRで検証 バーチャル実験も

2025-04-07

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総合大学と東京大学の研究者たちが発表した論文「Necomimi Illusion: アバターの猫耳と連動する触覚フィードバックによる所有感生成」は、猫の耳を介した触覚フィードバックと、アバターの猫耳を連動させることによって、人間が持ち得ない猫耳に対する身体所有感が得られるのかを調査したものである。

バーチャルリアリティ(VR)プラットフォームにおいて、動物の耳を持つアバターが広く利用されている。特に「けもみみ」と呼ばれる動物の耳を持ったキャラクターは、人々の感情を高めるための重要な要素であり、ソーシャルVRプラットフォームでの利用が急増している。

研究チームは、この「けもみみ」を持つアバターの機能を強化し、アバターの所有感を高めることを目的に、心理状態の計測とVRセッティングを用意した。特に、猫耳を持つ人型キャラクターは全体の47%を占めることが明らかになった。

人間が生まれつき持ち得ない猫耳のような身体部位に対して、所有感(自分の身体の一部であると感じる感覚)を持つかどうかは重要な問題であり、そのため、「Necomimi Illusion」という名の下に行われた研究では、猫耳に対する所有感を生じさせるための工夫が試みられている。

これを達成するために、一種のバイオメトリクスデバイス(BMF)を活用したタッチフィードバック技術が開発され、触覚刺激を提供するデバイスが提案された。このデバイスは、形状記憶合金の一種である新素材を通じて、音声や動作に連動したフィードバックを提供することが期待されている。

また、実験には20人の参加者が招待され、VR空間内で猫耳アバターに変身するという新しい体験を試みた。実験条件は「触覚刺激あり/なし」と「猫耳の視覚的な存在感あり/なし」の4つの要素で構成され、全ての参加者が条件を体験した。

結果として、触覚刺激あり・猫耳視覚的存在感ありの条件において、参加者が猫耳に対する身体所有感を強く感じる傾向が確認された。特に、身体の一部であると感じる割合や、猫耳が自分のものであると感じる割合が有意に高まることが示された。この結果は、VRを通じて非現実的な身体部位に対しても所有感を持っていたことを示している。

このように、VR環境下で感覚を扱う実験は、単なるエンターテイメントに止まらず、心理学や神経科学の分野における新しい発見にも繋がる可能性がある。今後、VR技術が我々の感情や身体認識に与える影響についての研究が進むことで、より深く理解されることが期待される。