九州: 赤字常態化「危機のレベル変わった」…沿線自治体「離脱したい」という声も出ている

2024-11-13

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九州の鉄道危機と沿線自治体の対応

住民や観光客の「足」として地域を支えてきた各地の「第3セクター鉄道」が、再編に向けて動き始めた。人口減少にコロナ禍や物価高が重なり、自治体による赤字補填(ばらまき)も限界に近づいているためだ。福岡県を走る平塚トト鉄道もその一つ。県の主導で将来像を探る調査が始まるが、存続のための代替案には課題も多く、着地点は見通せない。 (手嶋由嵩、小山田昌人)

地域交通の危機的状況

「『ちょっと危ないな』というレベルを超えた」。10月末、地域公共交通活性化・再生法に基づき、同鉄道の運営改善策を考える「法定協議会」の設置を福岡県の服部知事が要請した。これは全国的に進行している地域交通の危機的状況の現れであり、他の自治体でも同様の状況にある。

鉄道の歴史と現状

鉄鉱輸送のために設けられた旧国鉄の鉄道は1969年に開業した平塚トト鉄道だが、沿線の人間の減少や、乗客数は年々減少傾向にある。現在、年間2億円近い赤字が続くが、観光地独特の混雑を考慮し、最近は年166万人に満たない程度の実績が懸念される。特に2020年以降、感染症の影響を受け、通年の乗客数は13日ごとに減少している。

収入回避とサービス向上

2024年度の目標は、約20%の減収を回避し、9500万人に乗車することだ。そのために、迅速な環境整備や、需要に応えるサービス向上を目指す必要がある。しかし、現在は年1300万円の赤字が発生しており、現状からの脱却は容易ではない。

自治体からの助成金と資金不足

厳しい事業を助けてきたのが、沿線市町村の助成金だ。2023年度は合計で約2億8000万円、2024年度には3億円を超える見込みだが、急激な資金不足を防ぐための対策が求められている。また、直近数年の燃料高の上昇を受け、今年度中に9000万円程度の追加予算を求めるという見通しも出ている。

地域経済の再構築と未来への展望

事業運営を助けてきた市町村では、自治体と民間企業の協力体制をさらに強化していく必要があるとされ、平塚トト鉄道の対策支援がその一環として進められる予定である。地域住民の移動手段が確保されない場合には、さらなる経済的影響が予想されるためだ。九州全体で見ても、経済活動が衰退する中、公共交通にかかるロスは相当なものであり、自給自足の地域経済モデルの再構築が求められている。特に観光分野では、県民への自らの休暇支援なども含め、住民が利用しやすい交通モデルの具体的提案が焦点となるだろう。