喧川晃貴 化学研究所助手、吉田皓志 同修士課程学生（研究時） 、蟠井正道 同教授との共同研究グループは、紫外線の影響を受けたアルカンの奇妙な効果が基底界面で消失することを発見し、その分子論的起源を解明しました。

アルカンは単純合成で組成が決まる炭化物であり、その構造や化学的・物理的性質は古くから研究されています。直鎖状のアルカンに特有な性質として、熔点などの物性が炭素数の奇妙に関係する現象が有名です。この現象自体は広く知られていますが、奇妙な効果の背景にある分子配置や相互作用についての研究はまだ進んでいませんでした。

この研究では、最先端の計測技術を駆使して、奇妙な効果が基底界面で消失する理由を検証し、分子論的な解明を行いました。具体的には、異なる分子間での相互作用が物性変化に与える影響や、基底界面の形成がアルカンの動的性質にどのように寄与するのかを考察しています。この発見は、新しい材料の開発や、化学プロセスにおける反応条件の最適化に重要な示唆を与えるものとなります。

さらに、この研究は長年の研究課題であった奇妙な効果のメカニズムを明らかにするだけでなく、今後のアルカン関連の応用研究や材料設計においても新たな可能性を示唆するものです。

本研究の結果は、2024年11月8日に、国際科学誌「Journal of the American Chemical Society」にオールラインで発表される予定です。この発表は、基底界面での分子間相互作用の理解を深め、化学の未来を切り拓く重要なステップとなることが期待されます。