科学
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2025-01-01
著者: 蒼太
金は従来、一般的な金属とされているが、その大半は地球のマントル深部に埋もれている。どうやってそんな金が地表近くまで運ばれてくるのか、長く議論されてきた。
今回の研究チームは、数値モデルを用いて、金を含むマグマが濃集させられる具体的な条件を明らかにした。
活動中の火山の下、50~80キロメートルという深さで、特定の圧力と温度がその環境に存在する特殊な定義で、マントル内の金をマグマへと移動させるという。
過去の研究では、金は金硫黄化合物(金−三硫黄複合体)として存在し、その重要性を示す強固な熱力学モデルが初めて提案された。
純粋な金はマントル内で化学的に安定しており、そこまでにはマントルにとっての厄介な物質だが、硫黄を含む流体が加わることで、金は3つの硫黄イオンと強く結合し、金−三硫黄複合体を形成する。
この複合体は、マントルの融解部分、すなわちマグマと呼ばれる部分に移動しやすくなる。研究チームは、実験室で圧力や温度を制御して金の生成を行う実験に基づき、この新しい熱力学モデルを開発した。
特に重要なのは、沈み込み帯(Subduction Zone)である。沈み込み帯とは、プレートが他のプレートの下に潜り込む地域を指す。このプレート同士の境界で、マントルから金を取り出す可能性があり、沈み込み帯は深部で融解しながら金を含む流体を供給する。
この研究では、これまで知られていなかった金鉱床が生まれるメカニズムが明らかになり、将来的には新しい金鉱の発見に結びつく可能性が高い。
研究結果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されており、興味深い詳細については、今後のリンク先で確認できる。