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ヘッジファンド、米大選を目前にドル高見込むポジション増大
2024-11-02
著者: 蒼太
ヘッジファンドなど投機筋は、米大選を控えた現在、安全資産需要が高まる中、ドルの一段高に備えている。
ブルームバーグが集計した米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、10月29日時点でヘッジファンドや投資家によるドルの強気ポジションは74178億ドル(約12兆7200億円)で、10月中旬にドルの弱気ポジションを解消した後、29日終了週には強気ポジションが80億ドル余り増加した。
ハリス副大統領とトランプ前大統領の間で大接戦が続く大統領選の投票日が迫る中、ドル強気論が台頭している。ウエルズ・ファーゴのストラテジスト、アルフレッド・チャーチさんは、「さらに接戦になれば、市場の不確実性が高まり、安全資産としてのドルに対する需要が増す」と指摘した。
11月にはドルが上昇し、ドルの大幅変動に備えるコストは、新型コロナウイルスのパンデミック以降の高水準に達している。ブルームバーグ・ドル・スポット指数の指標は、新型コロナショックが得意先を急襲してからの2020年4月以来の高水準で推移している。
外国為替市場では、ヘッジファンドが現在、ドルを買い上げている状況で、特に中国との貿易などが影響を与えている。トランプ前大統領の対中政策の強硬さもあり、ドルの安全資産としての信任が強まっている。
ウエルズ・ファーゴのストラテジストは、「市場はトランプ政権の政策転換を注視しており、国際的な動向も影響してくる。ドルにおける強気派は、この後の選挙結果に向けた心理的な影響を考慮する必要がある」と述べている。