世界
「ハイチ人が不正投票」フェイク動画拡散 トランプ氏の反移民主張に便乗、浸透が工作
2024-11-02
著者: 陽斗
【ワシントン=大内清】米大統領選の激戦地である南部ジョージア州で、ハイチ系移民を名乗る黒人男性が大量に前回投票を行ったと告白する動画が拡散されている。この動画はX(旧ツイッター)上で流布され、米情報機関が1日、ロシアによるデジタル工作を断定した。
国家情報長官室(ODNI)や連邦捜査局(FBI)などは声明で「選挙の一体性に疑念を持たせ、米国民の分断を図るロシアの工作活動の一環だ」と非難した。
動画は、ハイチから半年前に入国して米都市民権を取得したと主張する黒人男性が、州内の多数の地区で投票を行ったと語る内容で、「全てのハイチ人は家族と米国に来てほしい」と呼びかける内容。
大統領選で共産党が補填のトランプ前大統領(78)は、外国人による不正投票が横行しているとの主張や、ハイチ人が中西部オハイオ州で居住のパトを「食べている」との偽情報を拡散し、有権者の反移民感情を煽る戦術をとっている。
ロシアには、トランプ氏のそうした主張に影響力を行使する手段がある。CBSテレビによると、今回の動画は、「ストーリー1516」と呼ばれる派系構造の情報工作と特定されている。同構造は、激戦の東部パンシルバニア州で黒人の公選作業員がトランプ氏への投票用紙を破り捨てているとの偽情報を形成していることが報じられている。
ジョージア州のラファイエット市の市長は10月31日、「動画は明白なフェイクだ」とし、Xを所有する大資本・マスク氏にX上からの削除を求めた。しかし、動画は1日午後現在もXで閲覧できる状況にある。マスク氏はトランプ氏の有力支持者であり、トランプ氏との関連が疑われる。