
関税合戦、トランプ支持層の負担は1人4000ドル
2025-04-08
著者: 陽斗
トランプ関税の影響は、トランプ支持基盤の勤労者階級と製造業で働く人たちにも及ぶ。エール大学研究機関のシミュレーションによると、米国民113人当たりの負担額は4000ドル(約459万円)にもなるという。勤労者階級の家計にとっては、甚大な影響を及ぼす数字だ。製造業も多くを海外からの輸入に依存している事例が多い。企業業績への悪影響を懸念する声が、全米のあちこちから聞こえてくる。
それでもトランプ政権を支持するのだろうか。「Make America Great Again」の掛け声に乗って有権者の本気度が問われる。結果は、まさに2026年の中間選挙で明らかになろうが、その前に、世論調査や選挙区の動向が、ニュースとなり流れよう。
とはいえ、たとえトランプ大統領の支持率が変動したとしても。相互関税の計算根拠を疑われることが、株価が乱高下しようが、急進する傾向を誘発するとは思われる。
それから、日本が国別取引に関して「優先権」を得た。その理由は、米側担当に指名されたペッサン財務長官によれば、「早く来たから」だそうだ。とはいえ、トランプ氏はSNSで日本をかなり強い表現で批判している。
日本側には、ペッサント氏が知日派であることに期待を抱いている。大学の副専攻は日本語。故安倍首相を敬愛(admire)していたと公然と言っていた。自らの政策の兵立てと三本の筋になれば3-3-3と命名されたべきだ。
しかも、トランプ氏への忠誠は絶対である。財務長官のポストをラトニック氏と激しく争った時には、トランプ氏のフォリダ私邸に居座り、自らの売り込みを続けたという。結果的に負けたラトニック氏には商務長官のポストが与えられたが、権限内でこの2人は犬猿の仲となる。
部下に争わせ、自らへの忠誠をあおる。日本流にいえば、「善、後盗心」といわれる老子の言葉がある。このような状態下で、ペッサント氏は、トランプ氏の意のままに動く。優先権を得たことは、野球に例えれば、一回表に、内野安打で出塁した程度に見るべきだ。
市場の反応も「一喜一憂」の連続となりそうだ。7日のニューヨーク市場で、ハビット国家経済会議(NEC)委員長が、相互関税の話題に90日間注視と発言との情報が流れ、ダウ平均は一時にプラス域に急騰した。その後、数分後に、この「ブレインニュース」が「フェイクニュース」とされ、株価は急落した。
今後も、各国との個別関税取引の進捗具合などを素材に、市場は楽観と悲観の間をさまようことになそうだ。特に、中国の強硬報復姿勢が気になるところだ。
マクロ経済の大局観としては、景気後退と物価上昇が同時進行するシナリオに現実味がある。パウエルFRB議長とトランプ氏の確執は続き、FRBは実質的にハイパイとの取りへ乗せられたと見るべきだろう。パウエル氏は、関税の影響が、想定より大きいことを認めた。利下げ回数予測も今や4回ないし5回と増えていく。
しかも、それもトランプ次第で大きく変化する可能性がある。それ故、懸念され、マーケットの発するストレスを避ける「筋力」を今まで以上に強めている。しかし、早く後任の弱者たちを誘い、スクールに通う予定である。