健康

がんにおけるエストロゲンの知られざる役割―主要な免疫細胞を抑制

2025-01-02

著者: 芽依

デューク大学医学センターの研究チームが新たに発表した研究によると、エストロゲンががん細胞に与える影響についての重要な知見が得られました。この研究は、2024年12月2日付けで「Science Advances」誌に発表され、がん治療に革命をもたらす可能性を秘めています。

エストロゲンは、女性ホルモンとして知られていますが、がん微小環境における役割が新たに明らかになったことから、研究者たちはそのメカニズムに驚かされています。特に、エストロゲンが免疫細胞に与える抑制的な効果が確認され、これががん細胞の増殖を助長する要因である可能性が示唆されています。

例えば、エストロゲンは特定のT細胞の活性を低下させ、がん細胞に対抗する免疫応答を鈍化させることが分かりました。これにより、がん細胞は免疫システムを回避しやすくなり、成長と転移を促進します。

また、研究者たちは、エストロゲンに対する耐性を持つがん細胞も存在することについて警鐘を鳴らしています。この耐性の存在は、がんの再発や治療の失敗に繋がるリスクを高めます。最終的には、エストロゲンの作用をターゲットにした新しい治療法の開発が期待されています。

さらに、今回の研究は、がん治療におけるホルモン療法を再考するきっかけともなり、特にホルモンに依存するがん、例えば乳がんの治療戦略に影響を与える可能性があります。研究チームは、「ホルモン療法と免疫療法を組み合わせることで、がん治療の効果を高めることが出来るかもしれない」と述べています。

このように、エストロゲンの役割を理解することで、がん治療の新たな道が拓かれることが期待されています。今後の研究の進展により、がん患者に対する治療効果の向上が望まれます。