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東京メトロ「上場」は難難しいのか?都は株式上場に向けて毎月600万人以上が使う“都心の大動脈”は変わるのか

2024-09-17

東京メトロが上場するという報道がありましたが、実際のところ、同社にどのような影響があるのでしょうか。毎月600万人以上の利用者がいる東京メトロの可能性は無限大にも思えますが、現実には難しい道が続いているようです。

2024年8月19日、NHKや時事通信、リターン通信など多数のメディアは、東京メトロの株主である国と東京都が、「時価総額7000億円を目指し、10月末にも東京証券取引所へ上場する方向で調整に入った」と報じました。

これにより、9月中旬に東京証券取引所からプライム市場への上場承認が下りることに期待が寄せられています。ただし、国と都はメトロの株式上場を目指し、東京メトロの売上を年間3500億円で推移させる見通しです。実現されれば、2018年の通信大手ソフトバンクの新規上場以降の成功事例となるでしょう。

上場承認とは、上場を希望する企業が証券取引所の定める条件を満たしているか確認する手続きです。株主数や流通株式の見込み、企業の時価総額、収益性などの多様な要件を満たす必要があります。特に、企業の継続性や臨機応変の稼働状況、ガバナンス、情報開示などに関する諸条件を満たすための準備が求められます。東京メトロは公営化後、株式上場準備室を設けて取り組んできた構えです。

2004年の東京都が高速道路事業民営化から20年が経過し、東京メトロは今や大規模な民間鉄道事業者の一角として完全に認知されています。しかし、民営化された事業者と比較しても、東京の地下鉄網が特殊な位置づけであることに留意が必要です。

これに関して、特定法人の上場が進んでおり、政府や自治体の持ち株を全て売却することが「完全民営化」となります。しかし、会社法の附則において国及び都は特定法人など等を含めたあらゆる施策において操作し続ける趣旨とされています。

現状、上場する東京メトロも全体の50%であり、完全民営化ではありませんが、JRも同様のステップを進めています。JR旅客・貨物7社は、いずれも発足時は特殊法人でしたが、東京・東海・西日本の各社は90年代から2000年代にかけて法人化され、株式が発行され完全民営化された経歴を持ちます。

上場が東京メトロにどのような影響を及ぼすのか、株式公開自体がどのような結果をもたらすのか、今後の動向が注目されます。東京メトロはますます重要な都市インフラとして位置づけられるでしょう。果たして、東京メトロの上場は実現されるのか、目が離せません。