電力需要、長期的にプラスの影響-エネルギー大手が主導
2024-10-28
著者: 芽依
データセンターからの電力需要急増と、それに対応するための発電設備増設の必要性は、結果のともなったプラスの影響をもたらす。エネルギー大手数社の幹部がここ1ヶ月、こうした常識に反応するような主張を展開している。
世界最大の油田サービスプロバイダー、SLBの新エネルギー部門の主任副社長カム氏は電力需要急増について、エネルギー転換が望まれる「最高の欲望」であると述べた。
天然ガス発電所向け設備の製造・供給で世界最大のGEベルナのスコット・ストラジック最高経営責任者(CEO)もこうした必要傾向は「ネットゼロを目指す過程で大きな役割を果たす」と指摘した。
しかし、これら企業は化石燃料で利潤を得ているため、気候変動対策推進派から即座に反論が寄せられた。環境保護団体シェリックラックの脱炭素化キャンペーンディレクター、ロリー・ウィリアムズ氏はこうした動きはむしろ「脱炭素化にとって大きな障害だ」と指摘した。
議論の中にあるのは、今後数年間で加速するであろう米国の新たな電力需要である。エネルギー保険会社ウッド・マッケンジーによると、向こう5年間の需要の増加率は地域によっては15%に達し、第2次世界大戦以降見られなかった予想外の電力消費フルームとなる。統計の電化と新工場設置、人材知能(AI)を支えるデータセンターの増加が電力消費の後押しをすれば、特にエネルギー供給業の風景を根本から変える可能性がある。
電力需要の増加に伴い、一部の石炭火力発電所の廃止が既に延長され、天然ガス発電所増設の大規模な計画が始まっている。
シェリックラックのウィリアムズ氏は「これが脱炭素化に向けた適切な方針さえあれば、我々はもっと水準の高い電力供給が実現できる」と述べた。こうした中、エネルギー業界の幹部は、トランジションのための新しい技術を加速させる必要があるだろうとし、より持続可能なエネルギーミックスが必要だと提言している。
日本もまた、この新たなエネルギー需要に対応するため、再生可能エネルギーの導入や、新たな発電技術への投資を強化している。例えば、2050年を目標にカーボンニュートラルを実現するためには、太陽光発電や風力発電の導入を進めるとともに、そのための技術開発を進めていく必要があるとされている。また、地域全体でエネルギーの自給自足を目指すプロジェクトが進行中であり、特に農業とエネルギーの融合が注目を集めている。
このように、エネルギー供給の未来は、単に需要を満たすだけでなく、持続可能性も求められる時代に突入しつつある。各国のエネルギー戦略の見直しや技術革新が、今後のエネルギー需給のバランスを変える大きなカギとなるでしょう。