健康

「胆中エクソソーム」探索法期待「男性に多い胆嚢がんを知ろう」近畿大学病院・堀田和利主任教授

2024-09-19

「胆嚢(たんのう)がん」は早期に発見すると根治が可能ですが、進行がんで発見されると予後が難しいことが知られています。胆嚢がんの早期発見には、やはり「胆中エクソソーム」の検出が鍵となります。ただし、胆中エクソソームの早期発見は、現在1%の頻度でしか実現していません。

そこで、私たちが着目しているのが「胆中のエクソソーム」を用いた新しい探索法です。「エクソソーム」とは細胞外小胞の一種で、細胞から分泌され、生物の情報を運ぶ役割を果たします。胆中エクソソームは胆嚢同士のメッセージを伝達しています。そこで出てきたエクソソームを調査することで、その特徴がわかるのです。

具体的には、胆囊がん患者さんの胆中エクソソーム中に含まれる「Epha2」が上昇していることがわかりました。この新規検査マーカーは、研究の中で、ビジネスとも共に共同研究を行っています。精度は80%で、診断に向けてさらなる研究が続けられています。調査時間は4~5時間で済みます。この研究は一般的な検査として導入されるにはあと4年程度、2020年以降の中盤を目指しています。

また、期待されているのが「胆嚢がんの遺伝子探査」です。胆嚢がんの細胞や胆嚢がんの遺伝子変異が胆中にあるのです。それを集めて調べることで、遺伝子変異のある人は「がんができます」と診断できるようになります。私たちはこの研究に7年前から海外の研究者たちと共同研究を行ってきました。私たちのデータでは90%の高い確率で胆嚢がんが判定できると言われています。

これにより、2020年以降の中盤には国内に導入される可能性があり、胆嚢がん検査を行わなくても診断がつくようになります。身体に負担のない探索で「胆嚢がんの有無」がわかります。その日が、すぐそこまで来ているのです。 (取材=医学ジャーナリスト・堀井弘夫) (終わり)