ダイヤモンド表面を原子レベルで可視化:新たなデバイス性能向上に寄与する原子間力顕微鏡を用いて観察
2025-01-14
著者: 弘
ダイヤモンド薄膜の成長機構解明や、ダイヤモンドデバイスの性能向上に寄与
東京大学は2025年1月8日、産業技術総合研究所(産総研)と共同でダイヤモンド表面を原子レベルで可視化する技術を開発したと発表した。この技術は、ダイヤモンド薄膜の成長過程を理解するための重要な手段となると期待されている。
ダイヤモンド薄膜は「クリア移動度」や「熱伝導率」、「残留破壊電圧」といった特性を持ち、高性能な半導体チップを実現する可能性がある。特に、これらの特性を発揮するためには、高品質のダイヤモンド薄膜の成長が鍵となる。しかし、成長過程における微細な変化を正確に測定することは容易ではなかった。
新たに開発された技術では、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して、ダイヤモンドの微細構造を観察。研究チームは、特定の成長条件下でのダイヤモンドの原子構造を高解像度で可視化することに成功した。これにより、成長因子がデバイス特性に及ぼす影響を明確に確認できるようになった。
今回の研究成果は、ダイヤモンドデバイスの性能をさらなる次元へと引き上げる可能性がある。ダイヤモンドは、高温・高圧下においても優れた電気的および熱的特性を維持することから、パワーエレクトロニクスなどの応用が期待されており、ますます注目を集めている。
この研究は、特にエネルギー効率の向上を目指す産業界からの要請に応える形で進められており、将来的にはダイヤモンドを基盤とした新しい電子デバイスの実用化が実現することが予想されている。さらに、より高い性能を持つダイヤモンド薄膜の生成が可能になることで、様々な分野におけるイノベーションが促進されることが期待されている。
研究チームは今後もダイヤモンド薄膜に関する研究を深め、基礎から応用に至るさまざまな成果を通じて、持続可能な技術革新に貢献していく方針だ。これにより、未来の技術を支える重要な材料としてのダイヤモンドの可能性がますます広がることでしょう。