科学

大腸癌が増加、進行する腫瘍療法 ~切除不可能だが予後改善~(時事通信)

2025-04-08

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日本における癌の中で罹患率の第1位は大腸癌、死亡数は胃癌に次ぐ第2位を占める。愛知県がんセンターの室長(腫瘍療法部長)は「手術で切除できない大腸癌でも、腫瘍療法の発展で予後は改善している」と述べ、早期発見の重要性について言及する。

◆患者は増加傾向

大腸癌の患者は増加傾向にある。その背景として室長は「以前よりも食事が欧米化するなど生活環境の変化が確実に影響しているだろう」と指摘する。大腸癌の病期は0から4まで。ステージ0(癌が粘膜の中にとどまっている)、ステージ1(腫瘍がすでに大腸の壁に侵入している)、ステージ2(腫瘍が大腸の外に浸潤している)、ステージ3(リンパ節転移がある)、ステージ4(他臓器への転移がある)と分かれている。不安定な生活習慣や摂取する食事が癌リスクに関与しているのだ。

室長によると、大腸癌の治療には内視鏡治療・手術療法、放射線治療、腫瘍療法の3つがある。これらに加え、生活習慣の改善が重要であると強調される。早期の発見であれば、予後は良好で生存率が向上する。

◆切除できない癌にも新たな治療法

大腸癌における腫瘍療法の目的は、大きく分けて2つある。ひとつは根治療法として、癌の完全な治癒を目指すこと、もうひとつは進行した癌に対する緩和的な治療法である。根治療法における腫瘍療法としては、手術後に残った癌細胞を消すことを目指すもので、この場合、患者の全身状態を考慮したうえで行われる。

さらに、近年進化した新薬が腫瘍療法を一転させる可能性がある。これらの新しい治療法は、従来の手術法を補完し、より早期に効果を発揮することが期待されている。特に、進行した癌患者にとっては希望となる新たな治療法の開発が進められている。

◆超早期診断が生存率を向上させる

最近の研究では、腫瘍の早期診断が生存率を大きく向上させることが明らかになっている。内視鏡による定期的な検査と合わせ、日常的な健康診断の重要性が再認識されている。腸内環境を整えるために食事に気を付け、適度な運動を心掛けることが推奨されている。

このように、生活習慣の見直しとともに、進行した大腸癌に対する新しい腫瘍療法の適用が今後期待されている。