慢性腎疾患の現状に迫る

慢性腎疾患（CKD）は、進行や合併症に対する予防策が重要ですが、実際の測定状況は必ずしも明らかではありません。The George Institute for Global HealthのDaniel B. Ketema博士は、この重要な問題に焦点をあてた研究を発表しました。

国際的な研究分析の結果

Ketema博士のチームは、2025年のデータまでを対象に、MEDLINE、EMBASE、CINAHLといったデータベースを使って成人CKD患者に関する研究を分析しました。結果として、59カ国、300万件以上のデータが収集され、驚くべき統計が浮かび上がりました。

CKDの測定に関する新たな指標

CKD患者に関する測定指標は、血液検査や腎機能を示す指標（eGFR）が高い傾向にある一方、実際には腎機能測定の実施率は約47.4%と低い結果でした。このデータは、BMJ Openに発表され、さらに多くの人々に認識されつつあります。

治療方針の課題

治療においては、ACE阻害剤やARBの使用率は56.7%、スタチンの使用率は56.6%とそれぞれ高いものの、非ステロイド性抗炎症薬（NSAID）の回避率は82.1%に達するなど、患者によっては治療方針が有効に機能していない実態があります。

新たなガイドラインとその影響

2024年のKidney Disease Improving Global Outcomes（KDIGO）ガイドラインが、CKD患者のリスクを減少させるための新しい指針を示すことが期待されています。その中でも、特に腎機能測定の強化によって病気の進行度を正確に評価し、適切な治療を進める必要があるとされています。

未来に向けての提言

Ketema博士は、「CKD診断の質を向上し、腎機能測定を中心に据えた研究を強化することで、より効果的な治療法を見出すことが必要だ」と強調しています。これにより、CKD患者の生活の質を大きく向上させる可能性があります。