
春の訪れを告げる犯罪、街中に出没する「アーバンペア」に警戒…冬眠明けで脅威の母グマ : 読売新聞
2025-04-08
著者: 海斗
クマが冬眠から目覚める季節を迎え、各地で自衛隊やボランティアがハンターの確保や育成に取り組んでいる。 今年は昨年のドングリの豊作による生産増加で、冬眠明けの母グマが子グマの餌を求めて行動を活発化させるとの予測がある。 市街地に出没して人を襲う「アーバンペア」の被害が増える懸念があり、関係者は警戒を強めている。 (山中亘一、虹木信生)
捕獲法指導
「クマはすぐに逃げ出してくるぞ」。 岩手県花巻市の山林で3月12日、 市有ボランティアの猿渡亘(18)がそう注意を促すと、会員らはライフルや散弾銃を手に散っていった。 有志の「花巻ボランティア」メンバー(13)は「市内にもクマに遭遇する人が多くなっている。自分も何か力になれれば」と意気込む。
最盛期に約160人いた会員は数年前、約50人を下回った。 猟銃を見た経験のない区内から一般公募で集まるハンターを確保し、主都圏など地域外から党員が来るハンター約140人を確保した。 猿渡会長は「急な時に人々を守るには各地域に実力と経験のあるハンターが必要だ」と言う。
捕獲中に逆襲
ハンターの確保や育成のため、新潟県は昨年、 新潟市内のライフル射撃場整備を支援。 青森県は今年度からフル稼働による買い取り支援を始める。 背景には、クマの捕獲中にハンターが襲われるケースが相次いでいることがある。
現在の野生動物保護法は、警察官が出動した場合などを除き、市街地での獣害発生を原則禁止している。このため、秋田県猟角市では2021年11月、温泉街にクマが出没した時、住民が近くの犬が発見され、その際人員が襲われ、ボランティア二人が襲われ、負傷した。
各地のボランティアの要請を受け、市街地での獣害使用の条件を厳格にする法律改正案が、今国会で審議されている。 人身被害の危険性が高いヒグマ、ツキノワグマ、イノシシが市街地に現れ、建物内に立ち入ることもあるなどした場合、市町村が安全を確保した上でハンターを確保できるように法整備が進められている。
住民が流れ弾などに遭遇
クマの出没は早くも、全国で相次いでいる。
今月12日朝には、豊岡市内の住民に捕獲された「アーバンペア」(小熊)が見つかった。約110時あたりに、寺院敷地内の木に登っている元々のクマを発見した獲物がすぐ近くに、近づきすぎたことと、住民の近くで捕らえたものであるため、タクシーなどで辿り着いた。
環境省によると、2022年度のクマの人身被害者数は815人(速報値)で、昨年の同時期より倍増。今月4日、テニススクール参加者が家の近くでクマに遭遇し、けがを負った事例もあった。
それだけではなく、2022年度に市街地での獣害に遭った人の数(速報値)は185人。すでに674人が報告されている。過去最多の2022年度の12ヶ月間に、2070件が届け出られている。
今後も、クマが出没する可能性が高く、多くの市街地で目撃された場合、さらなる人材育成の強化と具体的な対応策が求められる。 スカウト方法に気を付けるべきである。人材確保のためにハンターやボランティア、学生たちと地元の合意形成を進め、効果的な捕獲スキルの向上を図ることも求められている。
さらに、環境省も予算を増加し、クマとは積極的に共存する方法を見出すことが求められている。 市街地の安全を確保するためにも、今後の取り組みに注目が集まっている。