近年、持続血糖モニタリング（CGM）技術が糖尿病性ケトアシドーシス（DKA）の管理において画期的な役割を果たすことが示されています。これにより、患者の血糖値をリアルタイムで精確に把握できるため、DKAの発症や重症化を防ぐ可能性が高まっています。

アメリカのマサチューセッツ大学医学部の研究者たちは、成人のDKA患者におけるCGMの有効性を分析した結果、CGMを使用することで、集中治療室（ICU）への入院率が低下し、患者の転帰が改善される可能性があることを発表しました。

これまでの研究によると、DKAは糖尿病患者にとって危険な合併症であり、年々入院率は増加傾向にあります。特に、ICUに入院するケースが増えており、医療費の負担も大きくなっています。例えば、アメリカではDKAによる年齢に関係なく入院する患者が50,000人以上に達しており、医療費は年間240億ドルにのぼります。

研究チームは、DKA患者20人を対象にDexcom G6というCGMを用いた試験を実施しました。その結果、従来の血糖測定方法と比較して、CGMを使用した患者の方が血糖値の変動が少なく、急激な上昇を防ぐことができたと報告しています。

CGMの使用は、患者が自己管理をする上での大きな助けとなり、また医療従事者にとっても、迅速な対応が可能となるため、治療の質が向上することが期待されています。これに加え、CGMを使用することで、患者のQOL（生活の質）が向上し、再入院のリスクが低下するという説明もされています。

Haas氏は、「CGMはDKAの管理だけでなく、患者がより良い生活を送るための重要なツールである」と述べており、今後の研究でさらなるデータが期待されます。次世代の血糖測定技術としてCGMがもたらす可能性は計り知れません。