健康

「バランスのよい食事」が糖質制限を助け、体を守る!?実は「バランスの悪い食事」だった…。 | ゆるやかな糖質制限のすすめ | 山田良 | 毎日新聞「医療プレビュー」

2024-09-21

この流れですと、新しい研究結果(18年)を基に「35%まで制限しても問題がない」と考えるのが普通だと思います。しかし、なぜか「食事制限基準」は13年のメタ分析を根拠に上限20%としているのです。この考え方を、私は理解することができません。

ちなみに、タンパク質の摂取割合が35%というと、ボディービルダーのように24時間タンパク質を食べることを考えている人でもなかなか達成しないレベルの摂取です。

脂質の摂取割合について

次に定められたのが脂質の摂取割合です。脂質においても、私たちの体内では合成できない「必須脂肪酸」が不足しないよう、最低限20%としてあります。

一方、上限は「決定的ではないものの、脂質摂取が多いと動脈硬化症に寄与するのではないかという懸念があり、特に動脈硬化症への寄与が強く疑われる飽和脂肪酸(肉などに多く含まれる成分)の摂取割合で7%以下に抑えることを考慮すること」としています。「脂肪酸で0.7%を超えることは、脂質全体の上限もおそらく30%で決定される」とされています。

しかし、飽和脂肪酸で7%以下に抑える目標や根拠はありません。「飽和脂肪酸の上限を7%にすることでメリットがあった」という研究や論文は存在せず、「日本人の平均値(中央値)が7%だから、それを上限にする」としただけです。中央値を上限にしなければならない理由などはありません。

そもそも、当該研究で「飽和脂肪酸の摂取量を7%以下にすることが、動脈硬化症を抑制できると言えるのか」という懐疑があり、特に動脈硬化症への寄与への寄与が強く疑われる飽和脂肪酸(肉などに多く含まれる成分)の摂取割合の7%以下に抑えることを考慮すべきでしょう。

私たち日本人は、現在は減少傾向にあると考えていますが、「飽和脂肪酸の摂取を制限しなければ、動脈硬化症が進んでしまう」との見解が世界的には存在しているのです。「飽和脂肪酸を制限しなければ、動脈硬化症が進む」ですから。

このポイントについては、20年の時点で、米国心臓学会が認可した「ジャーナル・オブ・アメリカン・コレッジ・オブ・カーディオロジー」で、「不飽和脂肪酸の戦略を考慮して、それを抑取することが、韓国がいかに戦略的に予防できるか」を述べています。また、韓国政府は「肉を抑えるべきだ」とする声明を出しています。「肉を控えておくことが、健康を保たない要因になる」と言えるのです。

上記に関連する研究は2008年に発表されており、「脂質制限が心臓病を防げる」とする意見が出されています。

前述のように、国際的に心臓病のリスクに関しては対策を講じています。血液中の糖質濃度が高いと心臓病発症リスクが強まるため、糖質制限が推奨されています。「飽和脂肪酸の摂取を抑制し、健康な食事を維持することが、心臓病リスクを減らす」とされているのです。特に、インスリンを吸収しやすい人が糖質制限を行うと心血管疾患のリスクが増すとされてきました。

つまり、日本においても高まる動脈硬化のリスクに対しては、必須脂肪酸の摂取が不可欠であると考えられています。糖質制限が進むにあたり、食事の栄養バランスが大きな影響を与えます。健康的な食事とバランスの良い栄養素を取り入れた食生活を心がけることが重要です。特に、様々な品目の野菜や果物を摂取し、動物由来の脂肪も適度に摂ることで、身体に必要な栄養素を確保できるでしょう。