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アスファルト上で死んだカマキリ、寄生虫に操られていた 京大など解明 | 毎日新聞
2024-11-13
著者: 海斗
秋になると、アスファルトで死んでいるカマキリがよく見かけられる。京都大学などの研究チームは、こうしたカマキリが寄生虫のハリガネムシに操られ、川や池といった水辺に向かう可能性が高いことを明らかにした。
ハリガネムシは水中で繁殖し、主に水生昆虫に寄生する。カマキリが水生昆虫を捕食することで、カマキリの体内で成長し、カマキリを操って水辺へ導く。この後、カマキリは水から体液を排出し、水草などに産卵する。
この研究によれば、カマキリの行動を解析するために、アスファルト上に特有のセメント道を形成し、カマキリを寄生虫が水に導く様子を観察した。アスファルト道の水面からの反射光が多く含まれると、カマキリが入水する可能性が高まることもわかった。
さらに、カマキリの中に入った寄生虫は「水面偏光」と呼ばれる水面の反射光の影響を受け、カマキリを水に引き寄せるように進化している。この現象は、昆虫の行動学や寄生虫の進化を理解する上で非常に興味深い結果となった。特に、他の農業害虫に対しても応用可能な知見が得られる可能性がある。
実際の行動を確認するため、アスファルト道と異なり高い強度を持つ水路を設け、寄生したカマキリの行動を分析することで、寄生虫の影響を解明する研究が進められている。
京都大学の研究者は、「ハリガネムシはカマキリを適応させるよう進化しているため、これを適用することで人間活動にも良い影響があるかもしれない」と話している。
この研究成果は、米国の科学論文誌『PNAS Nexus』に掲載された。