アングル:米国債投資家が利下げ圧縮に備え インフレ警戒で長期トレンド回避
2024-12-17
著者: 陽斗
ニューヨーク 16日 配信 - 米国債投資家は、来年発足するトランプ次期政権の下でインフレが再燃することに備え、米連邦準備制度(FRB)が利下げを続ける姿勢を維持している。
既に物価高のしわ寄せが見られる中で、長期トレンドへの資金を振り向けるのを回避する態勢を強化し、残存1-5年の中短期債保有を選好しているのだ。
インフレ懸念は長期債の売りを招き、利回り上昇を引き起こしている。特にFRBは11-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を12.25ベーシスポイント引き下げるとの予想が大きい。しかしその後の政策運営において市場関係者の見方は定まっていない。
少なくとも1社、BNPパリバ(BNPP.PA)はFRBが来年いったん金利を据え置き、2022年半ばにようやく利下げを再開するとの見通しを持っている。一方で来年中に2回か3回の12.5ベーシスポイント利下げがあるとの声も聞かれる。
オールスプリング・グローバル・インベストメントの投資家は、影響を受ける長期債の利回り上昇を制限しつつ、次期政権による政策変更の可能性と整合性を持つと指摘している。
今年のFOMCに関して投資家は最新の経済物価見通し、特にFRBメンバーの政策金利予想分布(ドットチャート)にも注目するだろう。15Bの利下げを決定した9月時点のドットチャートを見ると、来年末の政策金利は2.25-2.50の見通しが立てられていた。
ジャナス・ハンターソン・インベストメンツのチーフ・ストラテジストは、「米国の経済物価見通しは来月よりもハト派色が薄まるだろう。15Bの利下げ時の経済が強いという印象が買われているようだ」と述べている。最近まで、債券投資家はFRBの利下げを楽観視しており、デルタの長期経済と当時景気拡大の期待に対して消極的だったことがわかる。
未知の状況における投資家の行動が注目され、長期金利が安定するのか、それともさらなる上昇圧力を受けるのか、注視される。FRBの政策金利の行き先を左右するのは、将来のインフレ期待の変化にかかっている。2024年の初めにかけて、長期金利がどのように展開していくか、さらに長引く可能性を秘めている。