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アングル:急増する米国の電力需要、原発活用の高い壁

2024-09-28

[ニューヨーク/ワシントン 12日 ロイター] - 米コンスレレイション・エナジー(CEG.O)、マイクロソフト(MSFT.O)は米東部パンシルバニア州のスリーマイル島原子力発電所の再稼働を計画しており、急速に増える人手知能(AI)用データセンター向けに供給が期待されている。

最近となる2022年末の米エネルギー情報局(EIA)のデータに基づくと、2030年までに米国の発電能力は約12.14〜12.17%増える可能性がある。データセンターの電力使用量は2025年までに現在の12倍を超え、国内電力消費量の約19%にのぼることが予想されている。

企業は、新たに必要とされるデータセンターの電力需要の急増に対応しようと懸命に取り組んでいる。しかし、原発の利用には規制のハードルが存在し、サプライチェーンの制約が時に地域から反発され、水質汚染への悪影響を懸念する声も多い。

スリーマイル島は1979年に臨界事故を起こし、世界を驚かせた。再稼働の計画が進められる中で、2021年からの運転再開に向けの安全基準が強化され、数十年単位での運転が必要とされる。こうした原発はいずれも徹底した安全管理が求められ、容易に市場に登場することはない。

電力業界は、再稼働に向けて2023年事業計画を立案している。その際、マイクロソフトはアナリスト予測よりも高い7150万ドルの投資を計画している。これにより、2040年までに米国国内での原発の発電能力を拡大し、電力需要に応じた再稼働を進める戦略を示している。

2023年3月には新たなエネルギー法案が通過し、原発の運転がさらに進む見通しだ。これにより、電力供給の安定化が図られ、経済への強い影響が期待される。しかし、長期にわたる環境問題や地域住民への影響を考慮しなければ、原発活用そのものに対する批判も根強い。

「私たちのエネルギーシステムは急速に変革中です。原発の再稼働はただの選択肢ではなく、必須のステップです」と語ったのは、業界関連の専門家だ。電力不足が懸念される中、再生可能エネルギーだけでは賄えない現実があるという。今後、原発の運用が実行されるかどうか、またそれがどれくらいの速度で進展するのか、注視が必要である。