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アメリカのスチール業界、日鉄の買収が「不当な影響力」として出発点に 米報道
2024-12-21
著者: 弘
【ワシントン=長田悠久】アメリカの大手スチール会社USスチールが、日本製鉄による買収を懸念していることが報じられた。この買収に伴う調査が、米政府の主導するCFIUS(外国投資委員会)によって進められ、「不当な影響力」が問題視されている。報道によると、買収計画は米国の経済安全保障に対する配慮から、CFIUSによる徹底的な評価を受けているという。 最近の動向として、CFIUSは買収に関する審査を17日までに実施し、その結果は23日に発表される予定である。この評価プロセスは、米国の法律に基づき、外国投資が国益を損ねる可能性がないかどうかを詳細に調査するものである。 日鉄によるUSスチールの買収は、業界内での競争が激化する中で、米国市場への影響を大きくはらむものであり、全米スチール労働組合(USW)は日鉄の買収に強く反対している。この労働組合は、買収が労働者や地域経済に与える悪影響を懸念しており、全米各地で抗議活動を展開している。 また、アメリカ政府は、国の安全や経済に関わる外国からの投資に対して、厳しい姿勢で臨んでいる。最近では、特に中国からの投資に対する規制が強化されており、日本からの投資が評価される一方で、影響を与える場合には厳しい審査を受ける可能性がある。このため、日鉄の買収は、経済状態や国際関係の緊張状況により重大な注目を浴びている。 経営者や専門家たちは、この買収が日本とアメリカの貿易関係やスチール業界全体にとって、将来的にどのような影響を及ぼすかについて慎重な分析を行っている。最近の報告書によれば、アメリカにおけるスチール価格の上昇や需要の変動も、この買収の審査に影響を与える要素となる可能性がある。