科学

4000年前の「解答用紙」に計算ミスを発見! 古代バビロニアの高度な数学教育を裏付ける(ARTnews JAPAN)

2025-01-08

著者: 陽斗

1931年に発見された古代都市ウルクの遺跡から、4000年前のバビロニア時代(紀元前1900年〜1600年)の楔形文字が刻まれた粘土板が20点発見されました。現在、オックスフォード大学のアシュモレアン博物館に所蔵されているこの粘土板は、数学的なテスト用紙として利用されていたことが分かっています。

テスト用の問題には、直方体の面積を求める課題が記載されており、その解答には驚くべき計算ミスがありました。この計算ミスは、0.875インチの高さ、または3.75インチとなるはずの直方体の寸法計算に現れていました。正しい解答は高さ×面積=3.5156であったのに対し、当時の学生たちは3.1468と誤って計算していました。これは、古代バビロンの学生たちが60の進法を使用していたため、計算に混乱が生じた可能性があります。

バビロニアでは、数学教育が盛んであったことが確認されており、彼らは非常に高度な数学的理解を持っていました。特に、三角形の面積の計算に関する課題など、具体的な応用問題が多く存在しました。また、古代の数学者たちは数行の問題設定を解くために、直角三角形の直径を使った計算方法を発見していたことが知られています。

さらに、これらの粘土板の発見は、古代バビロニア社会における教育制度の重要性を示しています。彼らは、商業や税金の計算だけでなく、天文学や測量といった広範な分野においても数学を利用していたため、教育が人類の発展においていかに重要であったかを物語っています。

この発見により、古代バビロニアの数学教育は単に計算を教えるだけでなく、問題解決能力を育む上でも重要な役割を果たしていたことが示唆されています。これからもさらなる研究が進むことで、当時の教育制度や社会の様子がさらに明らかになることでしょう。