健康

2025年1月17日 抗インフルエンザ薬耐性株の調査結果

2025-01-23

著者: 芽依

1. 調査背景

2024-2025年度における日本でのインフルエンザ活動と薬剤耐性株の出現に関する調査が実施されました。この研究では、バロキサビルに対する感受性を低下させるPA遺伝子の変異、およびオセルタミビルを含む神経アミダーゼ阻害剤に対する感受性を低下させるNA遺伝子の変異を検出することに重点が置かれました。分析は、RT-PCR、サンガーシーケンシング、次世代シーケンシング(NGS)を用いて行われました。

2. サンプル収集方法

参加した医療機関では、インフルエンザ様症状(発熱、咳、喉の痛み、倦怠感)を有する患者から、上気道サンプルが初回訪問時に収集されました。迅速診断テスト(RDT)によってインフルエンザAまたはBの陽性が確認された患者もいました。バロキサビルで治療を受けた患者については、治療から3〜6日後のフォローアップ訪問時に上気道サンプルが収集されました。全ての臨床標本は新潟大学に送付され、インフルエンザウイルスの検出、亜型決定、およびPAおよびNAの変異の検出が行われました。

3. 調査結果

収集された初回サンプル29件の結果は以下の通りです: - A(H1N1)pdm09: 26件(89.7%) - A(H3N2): 1件(3.4%) - 分類不能のインフルエンザA: 0件(0.0%) - B/Victoria: 1件(3.4%) - 混合感染: 0件(0.0%) - RT-PCR陰性: 1件(3.4%) 治療前のサンプルでは、サイクリングプローブRT-PCRを用いてPA/I38T変異が検出されませんでした。26件のA(H1N1)pdm09および1件のA(H3N2)サンプルのいずれからもPA/I38T変異は検出されず(検出率: 0%)ました。

4. 治療後の結果

バロキサビル治療後、2名のA(H1N1)pdm09に感染した患者がフォローアップで再来院し、上気道サンプルを提供しましたが、いずれのサンプルからもPA/I38T変異は検出されませんでした(検出率: 0%)。治療患者からの1件はPA/I38T変異無のサンプル(感受性株)であり、もう1件はPCR陰性サンプルでした。

5. 今後の展望

注目すべきは、最近の調査では特に新型コロナウイルスとの関連も指摘されており、インフルエンザウイルスと既存のウイルス変異の相互作用が新たな課題として浮上しています。特に今シーズンは、ワクチン接種の重要性が再確認されており、医療機関での予防策が呼びかけられています。各地方の健康管理機関も感染拡大防止に向けた対策を強化しており、特にリスクが高いグループへの 支援が求められています。今後の調査結果や施策の進展に注目が集まっています。