テクノロジー

1週間、人力コーディング禁止→結果は“成果半減” それでも「やってよかった」とCTOが語るわけ

2025-04-07

著者:

1週間、人力でのコーディングを禁止した—AIスタートアップ企業のエクスプラザ(東京都港区)は3月上旬、こんな実験を実施した。大きな取り組みではあったが、その結果は「通常時の業務の成果から半減した」と同社の松本和高CTOは語る。しかし、実験は失敗だとは考えず「成功だった」と返答する。その理由は何か?

この実験のルールは主に2つ、「期間中のコードは全てAIに書かせる」「基本的に例外なし(緊急対応時は除く)」というものであった。AIが出力したコードの修正も原則禁止され、デバッグ用の簡単なコードを書くのも認められない。しがし、どうしても手入力が必要な場面では社内Slackに置いた「混乱チャンネル」で何がダメだったかを記録することにした。この試みによって人力での入力を“これっぽち許可”することが多かった。

参加者は同社に所属する3人のエンジニアで、エディターは指定せず、「Cursor」「Mindsurf」「Visual Studio Code」など、自身で自由に選択できるもので実施した。実際の成果として「AIの出力したコードに対して、無意識に修正してしまっていたことなどもあった。ある種の職務病と言える。」と松本CTOは語る。

生成AIに慣れて作業効率向上—とはならずも、そのわけは松本CTOが言う通り、実験初日に参加エンジニアたちは「AIではできない部分」がどこにあるのか、そして「なぜ動かないのか」を十分に理解するのに手間取ったためである。実際、業務期間中は38件/日の生産物が「混乱チャンネル」に上がる状況で、実験期間中は7件/日まで生産物が減少した。

「AIが生成したコードに対して、無意識で修正してしまっていたことなどもあり、もっと成果を出せたはず、と思っています。各エンジニアの感度も上がり、AIによる出力であればこそ、精度の高い作業をしやすく、業務それ自体の質を向上させることはできると思います」と松本CTOは振り返る。

また、実測の結果として、みんな同じ変数コーディングやプログラミング言語の出力が存在するとき、AIが参考にできるコードがあった場合、対比的に成果が高まることが分かっているため、AIの導入によって業務上の創造性を加えることができる可能性がある。

現在、松本CTOはこの実験の成果に基づき、毎回のプロジェクトにおいて「情報を整理して、ものづくりをすること」の重要性を強調している。また、これからの時代、システムや技術を持ちつつ、新たな問題に対応していく必要性も感じており、AIを用いた新しいプロジェクトに挑戦する機会を増やしていく考えだ。ぜひ、続報を注目してください。